住宅展示場に行ってはいけない
「家建てるなら展示場行かなきゃ」
と思ってませんか?
いまだこの世に存在していない商品を買うわけですから、せめて実物に近いものを見たいという気持ちはわかります。
しかし、元ハウスメーカー営業マンとして言いますが、やめておいた方がいいですよ。実際、後悔している人もいっぱいいます。
展示場へ行く前になぜ行かない方がいいのかだけでも知っておいてください。
なぜ住宅展示場に行かない方がいいのか?
営業マンに乗せられて後悔するパターンが多いから
歴史ある大手のハウスメーカーだし、最初に対応してくれた営業マンがいい人でした。だから、そのままとんとん拍子で契約しました。でも、予算オーバーの家を建ててしまい、現在は住宅ローンに苦しんでます。
私が見てきた中で、これが最もよくある後悔パターンです。
当たり前ですが、展示場に待ち構えているのはただの案内員ではありません。訓練を受けた営業のプロです。建てたい家のイメージが定まっていない状態で行ったら、熟練のセールストークでいいように誘導されてしまいます。
住宅営業は結果主義。
1日15時間働こうと契約が1件も取れなければ働いてないも同然。手取りは10万円台になるし、上司や先輩から「お前の給料どこから出てるんだろうな」と嫌味を言われる日々が待っています。
だから、死力を尽くしてあなたから契約を取ろうとするものです。それもできるだけ高い金額で。
そして、これも知っておいて欲しいのですが、「この営業マンはいい人だな」「有能だな」と思った時こそ要注意です。
私の経験上、人当たりが良くて成績の良い営業マンは建築の知識をあまり持っていないケースがほとんど。
うちの会社だけかなと思っていたのですが、他の会社の営業マンも「うちもそんな感じ」と言っていました。
そういう人当たりの良い営業マンは恐らく、生命保険や自動車などを売らせても結果を出すでしょう。要は天性の営業マンなんです。
もちろん、建築の知識がないのですから、提案プランに従ったら後悔する可能性大です。
しかし残念ながら、やり手の営業マンにうまく乗せられてしまう人が後を絶ちません。
- 予算オーバーの物件を契約してローンに苦しんだり
- 建てた後で「こんなはずじゃなかった」と後悔したり
こういった事態は避けたいですよね。
「自分は大丈夫」と思わないでください。騙される人はみんなそう思っています。「自分もやばいかも」と思っているぐらいがいいでしょう。
モデルハウスはあまり参考にならないから
ハウスメーカーを比較する上で大事なのが建築予算の統一。
各メーカー、価格帯によって建てられる家は変わってきます。
あなたの予算でどんな家が建つのか?それを比較しなければ意味はありません。
なので、モデルハウスを見ても参考にするのは難しい。
モデルハウスは全体的に上位グレードの設備を採用していて、オプション盛りまくり。その通りに建てるとかなり高くなって、あなたの予算をオーバーするでしょうから。
それにモデルハウスは営業ツールなので、見た目重視。実際の暮らしとはかけ離れている場合も結構あります。
例えば、吹き抜けが見栄えがするので良く採用されています。しかし、あれは土地が広くて電気代が日本の半分ぐらいのアメリカだから許される間取りです。
日本でやったら収納が犠牲になったり、光熱費が跳ね上がったりします。
「展示場に行く意味は全くない」とまでは言いません。しかし、忙しい仕事や家事の合間にわざわざ行くほどの価値はないでしょう。
正直、展示場を見に行くよりは、完成現場・工場・建築現場を見に行った方が勉強になります。
元営業マンが教える、あなたに合ったハウスメーカー・工務店を決めるベストな方法
繰り返しになりますが、ハウスメーカー・工務店を決める上で大事なのが、同じ予算での比較。
予算を無視して比較したら、予算オーバーなどの失敗につながりやすい。
相見積もりを取ってからが比較のスタートだと思ってください。
同じ予算で相見積もりを取れば、間取り・外観イメージ・設備・提案力など比較に必要な情報が一気に手に入ります。
色々比較することで、各社の特徴や良し悪しが見えてきたり、建てたい家のイメージが固まってくるもの。
そして、それぞれのプランを調整。最終的に最も理想に近づいたプランを提案したハウスメーカーを選ぶのがベストです。
完成現場や展示場に行くのは、最低でも大枠を決めてから。その方が確認すべきポイントを絞れているので、より深い情報を得られます。
建てたい家のイメージがはっきりしていれば、営業マンのいいように誘導されてしまうリスクも減ります。
しつこい営業をかけられない相見積もりの取り方
最近はネット上で一括見積できるサービスがあるので、そういったものを利用するといいでしょう。
というか、こういったサービスを利用しないで相見積もりを取るのは大変すぎます。
- ヒアリング 2時間
- プラン提案 2時間
最低でも4時間はかかります。これを複数社に対してやらなければなりません。
同じ話を何度もしないといけないし、何度も会ってしまうと断るプレッシャーも大変なものです。労力を考えれば3社ぐらいが限界でしょう。
しかし、先ほど紹介したサービスならもっと多くの会社を比較対象に加えられます。
長時間拘束されたりもしません。ネット上でポチポチ入力するだけ。要望が固まっていれば、3分ぐらいで終わります。
なにより、しつこい営業を受けなくてすむというのがいいですね。
私も試してみましたが、補足の電話が3件ほどかかってきたぐらいでした。断り文句を準備していたんですが、拍子抜けでしたね。
こういう一括見積サービスを利用する人はじっくり情報を比較したい客層。しつこい営業をするのは逆効果だという認識なのかもしれません。
(電話されるのすら嫌だというのなら、要望のところに「連絡はメールのみでお願いします」と書いておくといいでしょう)
なんにせよ、一社一社見積もりを依頼して、提案してもらうのはもう時代遅れ。こういった一括見積サービスを使って後悔のない家づくりに役立ててください。
なお、要望のところはできるだけ具体的に書くのがおすすめです。
適当に書くと冷やかしだと思われるかもしれません。そうなると、本気の提案をもらえないでしょう。
最後に言いたいこと
ハウスメーカーで営業をやっていた時。
購入を前向きに検討していたお客さんに、あきらめるよう遠回しに説得したことがあります。
住宅ローンで苦労するのが目に見えていたからです。世帯収入を考えれば、専業主婦の奥さんがパートに出ても厳しい返済額でした。
上司には「そこまで寄り添ってたら売れるものも売れないだろ」と叱責を受けました。
それでも、一生に一度の大きな買い物でお客さんが後悔してしまうのは避けたかったんです。
私はそんな感じの営業マンだったのであまり高い評価は受けませんでした。評価されるのは無理なローンを組ませてでも売るやり手営業マンばかり。
住宅営業というのはそういう世界です。
営業マンがどんなにいい人に見えたとしても100%信用するのはやめましょう。お客さんに好かれる心理技術みたいな研修も受けますから。
できるだけ高い金額であなたに売る。それが営業マンにとっての利益につながるということを忘れないでください。
営業マンに会う前に知識を身に着け、建てたい家のイメージをある程度固めておきましょう。相見積もりはその第一歩です。